アスクル(2678)の気になる株価は?
- 株価:3,430円
- PER:29.2倍
- PBR:3.18倍
- 配当利回り:1.11%
- 信用倍率:6.41倍
(2021年3月12日、現在)
アスクル(2678)最近決算情報【2021年5月期3Q累計決算】
過去最高益を更新
アスクル(BtoB事業)
LOHACO(ロハコ)BtoC事業
ロジスティクス事業(物流など)
アスクル(2678)ってどんな会社?
法人向け通販のアスクル(ASKUL)と個人向け通販のロハコ(LOHACO)を運営している会社です
アスクルが社名の通り、通販サイトASKULを運営していることはみなさまご存知だと思いますが、ロハコ(LOHACO)を運営していることは知らなかった人も多いのではないでしょか。
私もアスクルがロハコを運営していることは知りませんでしたし、もっと言ってしまえば、恥ずかしながらロハコ自体知りませんでした。
しかしながら、私がアスクル(2678)を購入したいと思ったきっかけの1つにはロハコがあります。
アスクル(2678)に興味を持ったきっかけは?
きっかけはコロナでした
2020年3月頃にコロナが深刻化し、今後の投資においてIT関連やシステム関連銘柄が活躍することは、誰の目にも明らかでした。
しかしながら、どんな企業が伸びていくのか、また、どの企業がコロナで一時的に伸びた後、没落していくかは分かりませんでした。
特に、自分の詳しくないシステム関連についてはまるで予想がつかない。そこで私は、自分の専門分野であるWebマーケティングの分野から見て、今後伸びていくであろう企業を探すことにしました。
そして、そのような視点から気になったのがアスクルです。Webマーケターから見て、アスクルが伸びると考えたのは以下の理由からです。
アスクル(2678)が伸びると考えた理由
「水」や「トイレットペーパー」などのワードでGoogle検索上位にランクインしていた
「水」や「トイレットペーパー」というワードは検索ボリュームが多く、どのような時代にあっても人々に必要とされるものです。
そのような必要不可欠なワードで、Google検索上位にランクインされるということは、SEOに強く、売上も良く、かつ安定しているのではないかと考えました。
アスクルとLOHACOがダブルランクインしている
これはWebマーケティングの視点で見るとすごいことなのです。Googleのアルゴリズムでは、ユーザーの検索体験を良くするために、いろいろな種類のサイトを検索上位に組み込もうとしています。
昔であれば、内容が良ければ同じ企業のサイトが検索上位に複数ランクインすることも多々ありましたが、近年ではユーザーの検索体験の向上という目的からバリエーションを豊かにするために、同一サイトの複数ランクインは避ける傾向にあります。
しかしながら、アスクルとロハコは同じ会社でありながら、ドメイン(URL)が異なるからか、ダブルランクインされています。
先ほど紹介した「水」と「トイレットペーパー」で検証してみましょう。
- Google検索「水」
ロハコが4位、アスクルが9位、10位にランクイン
- Google検索「トイレットペーパー」
ロハコ3位、アスクル5位にランクイン
他社のブランド名で数多くサイトに流入していたから
下記はロハコのサイトの流入ワードトップ20になります。オレンジ色にマークしてあるものが、他社のブランド名や商品名です。
なんとトップ20のうち13が他社のブランド名や商品名です。
無印良品やオルビス・カルディなど、有名なブランドが並んでいます。
これもとてもすごいことです。
なぜなら、「無印良品」というワードで検索上位にランクインするには、無印良品とコラボするだけではなく、たくさんの商品・口コミなどの情報量がないことには、いくらコラボレーションしていたとしても検索上位にランクインすることはできないからです。
そのことから、ロハコはいろいろなブランドと取引ができるという営業力だけではなく、たくさんの種類の商品を扱い、かつサイトの情報量も多いということが分かります。
他社ブランドとの協業が良いということは当然ロハコも分かっていると思いますので、今後もこのような他社ブランドとのコラボはますます拡大していくと予想します。
アスクル(2678)の買い時について
月次情報と株価のバランスを参考にすると良いでしょう
アスクルの株価は現在PER30倍の水準ですが、ロハコが好調で黒字化目前であり、先行投資期から今後利益回収期に転換するということを考えると、株価を気にせず、今すぐ買ってしまっても良いと思います。しかしながら、できれば安く買いたいというのが人の気持ち。買い時については、月次業績と株価のバランスを見るのが良いのではないかと思っています。
下記はアスクルの月次と株価の画像です。
上記の画像を見ますと、2020年3月の売上が昨年同月対比103.4%にも関わらず株価が大きく下がっています。
また、2020年の7月、8月も昨年同月対比が100%を超えているのに、株価は軟調に推移しています。(特に8月)
このような時期は企業業績と株価が乖離しており買い時と言えるのではないでしょうか。
その逆に、2021年3月現在は株価は軟調ですが売上も97.9%と昨年同月を割っており、買い時とは言えないと思います。
昨年同月を数か月連続で超えたことを確認し、なおかつ、それに反比例して株価は下がっている時が、購入するべきタイミングだと考えます。
アスクル(2678)今後の株価予想
5000円を予想します
アスクルの株価はトレンドに乗れば7000円以上になる可能性もありますが、妥当なラインでは年内~数年で5000円くらいだと思います。
今まで、あれだけGoogle検索上位に来ていることやダブルランクイン、他社ブランドとのコラボを持ち上げてきたのに、なぜ?と思う方もいるかもしれませんね。
それは、アスクルの成長性と利益率の低さが原因です。
- アスクルの成長性
ほとんどの年で前年超えしていることは素晴らしいですが、成長株としては前年比+10%~20%は欲しいところです。安定しているものの、成長性は乏しいと言えるでしょう。
- アスクルの収益性
アスクルの収益性はものすごく低いです。私は売上営業利益率10%以上を投資対象の目安にしていますが、アスクルのそれは3%未満であり、収益性という観点のみで見れば投資対象に値しないと言えるでしょう。
唯一まともに見える数値はROEで、こちらは10%を超えていますが、アスクルの自己資本比率は30%くらいしかないことを考えると、ROEの高さは数字上のトリックであり、負債を含めたROAの3.29%を参考にした方が現実に近いと思います。
アスクルの収益性の低さは、ビジネスモデルによるところが大きいです。あまりにも営業利益率が低いのでその原因はどこにあるのだろうと調べてみたところ、売上高に対して、「売上原価」と「販売費及び一般管理費」の割合が大きいということが分かりました。
- アスクルの「売上原価」と「販売費及び一般管理費」
アスクルのビジネスモデルは商品を仕入れて、お客様にお届けするというものです。そのため、売上原価(商品の仕入れ)や販管費(人件費や配達にかかる費用など)を大きく削ることが難しいのです。
もちろん、オリジナルブランドの商品を多く開発・販売することで売上原価を抑えたり、ロハコが黒字化目前ということから予想すると、広告費を抑えることで販管費を縮小することはできるでしょう。
しかしながら、それにも限界があり、アスクルのビジネスモデル自体が低い利益体質と言わざるを得ません。
比較として任天堂の収益性を見てみましょう。
- 任天堂の収益性
任天堂は営業利益率が35%にもなっています。これは驚異的な数字です。ROEも20%あり、その上ROAとの差も少ないことから、資本効率が良く、かつ負債の少ない企業だということが分かります。
なぜそんなにも営業利益率が高いかと言えば、独自性のあるゲームを作ることによって、価格決定権という優位性があることと、アスクルとは異なり、仕入れに大きな費用がかからないため、売上原価を抑えることができるからです。その結果として営業利益率が高くなり、利益も大きくなります。
それとは反対に、アスクルのビジネスモデルは独自性が乏しいために、結果として利益が少なくなってしまいます。
しかしながら、アスクルの現在の株価は、アスクルの利益の低さをベースとして成り立っているので現在の利益ベースで適性な水準にあり(IT関連銘柄でPER30倍は割高ではない)、今後ロハコの黒字化によって利益が増えることを考えると、今の株価は割安だと思います。
アスクルの利益が今後ゆるやかに増加すること・そしてWebマーケティングの視点から見たアスクルの取り組みの成果(Google検索上位に来ていることやダブルランクイン、他社ブランドとのコラボ)がすぐに崩れることがなく、安定していることを考えれば、今の株価は割安であり、少し先の未来を含めれば5000円くらいの価値があるのではないかと考えます。
まとめ
本記事では、Webマーケターの視点で、アスクルという企業が投資対象としてどう映るかみていきました。
断言はできかねますが、アスクルへの投資は長期的にはゆるやかな株価上昇が期待でき、利益を得ることができると思っています。
直近の2021年5月期、第2四半期累計の決算では、法人向け通販のアスクルは売上・利益共に伸びており、個人向けのロハコについても、赤字額が減少し、2023年5月期の黒字化に向けて順調に推移しています。
(先行投資期を終え、利益回収期になることを意味しています。)
- BtoB事業(アスクル)2021年5月期、第2四半期累計決算
- BtoC事業(ロハコ)2021年5月期、第2四半期累計決算
なによりも、今回見てきた「Google検索で上位になること」「ダブルランクインすること」「他社ブランドと協業すること」は広告などのプロモーション方法と異なり、資金力があったとしても一朝一夕でなんとかなるものではありません。
このような地道な取り組みが必要な分野で成果を出すことができているアスクルは、投資対象として長期で安心して保有することができる銘柄だと思います。