PER(株価収益率)とは?
PERは株価が割安か割高か判断する一つの指標です
PER(株価収益率)とは「現在の株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍かを見る指標です。
また、EPS(1株あたりの純利益)は今期の予想純利益を発行済み株式数で割ったものです。
言葉だけで説明すると難しいので数字を当てはめてみましょう。
現在の株価 2000円
発行済み株式数 10万株
今期予想純利益 1000万円
EPS(1株あたりの純利益) 100円(1000万円÷10万株)
PER(株価収益率)20倍(2000円÷100)
このようにPER(株価収益率)は株価・発行済み株式数・純利益が分かれば算出することができ、そして多くの投資家がこのPER(株価収益率)を株価が割安か割高か見る判断基準にしています。
一般的にはPER15倍以下が割安と言われています。
銘柄をスクリーニングする際にも便利なPER(株価収益率)ですが、使い方には注意が必要です。
次項でPER(株価収益率)の注意点について見ていきたいと思います。
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PER(株価収益率)の注意点
PER(株価収益率)はその企業の純利益が変われば変化する
PER(株価収益率)は「株価÷EPS(1株あたりの純利益)」で決定するため、株価やEPSが変われば、PERも変わります。
そんなの当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんがこれには注意が必要です。
株価が変わればPERが変わるということは分かりやすいと思いますので、EPSの変化によって、PERが変わるということを見ていきましょう。
株式投資では将来性を重視するため、過去のEPSではなく、今期終了時点の予想EPSを計算に使っています。
そのため、株価2000円、予想EPS200円 PER10倍で割安だと思って購入した銘柄が、業績予測を下方修正して、EPSが100円になってしまった。その結果PERが20倍になる。
割安だと思って購入した株が実は割安でなかったということが起こりえます。
PERを参考にするときは、現在の数字を見るだけでなく、過去のPERの推移を見ることや、未来の予想PERを自分で算出してみるといった作業が大切になります。
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セクターによって平均PERは異なるため、単純に比較できない
銀行株や商社株など、人気がない(将来性がない)と市場から思われているセクターは株価が安くなる傾向になるため、PER(株価収益率)も低くなりがちです。
一方、バイオ関連やAIなど、多くの人が将来有望だと考えるセクターは株価が高くなるため、PERも高くなる傾向があります。
このように市場からの期待が異なるセクター同士をPERで単純に判断することは危険です。
A銀行はPERが4倍だから割安、Bバイオ株式会社はPERが50倍だから割高と単純に判断することはできません。
もし、PERで判断したい場合は、そのセクターの平均PERを算出し、その平均PERに対して、購入したい銘柄が割安かどうかを見る必要があります。
そして、割安な場合、競合優位性があるかどうか、それとも何か原因があって割安に放置されているかどうかも調べたいものです。
その企業が先行投資期なのか利益回収期なのか判断する必要があります
一般的に成熟産業のPERは低くなり、成長産業のPERは高くなる傾向があります。そして、それは個別の企業についても言うことができます。
具体例を挙げましょう。
先日、メルカリが70億円の赤字を出したというニュースがあり、それによって翌日の株価はストップ安になりました。
メルカリの国内事業は堅調に推移しており、利益を出していますが、メルカリアメリカやメルペイへの先行投資がなかなかうまくいかずにトータルでは赤字になっています。
しかしながら、メルカリのビジネスは国内だけでやっていても先細りになる可能性が高いので、他の国に挑戦するということはとても大切です。
このような先行投資期はメルカリに限らずどの企業にもあります。
大規模な設備投資が必要だったり、研究開発費が高騰することもあるでしょう。
それらは将来に対する準備です。この将来に対する準備期間は利益が少なくPERも高くなったり、赤字の場合はPERが算出不能になります。
PERは現在という点だけで見るのではなく、過去・現在・未来の線で見ることがとても大切です。
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PER(株価収益率)は参考までに。その企業が将来の社会や生活にとって必要かどうかを考えよう
これまでいろいろと見てきたように、PER(株価収益率)のとらえ方には注意が必要です。現在のPERだけではなく、過去のPER推移の確認と将来の予想PERの算出、その企業が先行投資期なのか利益回収期なのかを見る必要もあるでしょう。
そして、PER(株価収益率)以上に大切なのはその企業が将来の社会や生活にとって必要かどうか、応援したい企業かどうか、株価が暴落した時こそ買い増ししたい企業だと思えるかどうかだと思います。
多くの人が「応援したい、この企業は私たちの生活に必要だ」と思われている企業はつぶれることはありませんし、将来にわたって成長するでしょう。
そして、そのような企業の株価は上がります。
株を購入する際には、PERは参考程度にとどめ、「応援したい、私たちの生活に必要だ」と思える企業に投資することをおすすめします。
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